浅草の諸事情

浅草寺の本堂が再建されて50周年を迎えたとのことで、これまで絶対秘仏、未だかつて開帳されたことがないという慈覚大師円仁の作である浅草寺の本尊「聖観世音菩薩像」を拝顔することができるというビッグイベントを催しているとの情報を得たため、観音様とちょっとしたお近づきになっておこうと娘を連れ浅草に赴いた。

しかしあまりの人ごみに雷門から直進して本堂に向かうという勇気を持てなかった僕は、直進がだめなら斜めに進んでいこうと歩いていくと、地理的な関係で当たり前といえば当たり前なのだけども本堂には到着せず花やしきにたどり着いた。

いいじゃない。
花やしきでも。

腹ごしらえをして中に入ってみると、別のイベント会社が催しているものと思われるコスプレ大会の真っ最中だった。人それぞれ趣味嗜好というものがあるわけだから、コスプレに命をかけようと独楽回しに情熱を傾けようと、僕としては何の異存もないのだけども、数時間彼らのとっている行動を見ていて「お前ら根本的なところで間違えている!」という結論にたどり着いた。たどり着いたけども、もちろん口にはしていない。かっこだけとはいえアニメの世界ではさまざまなバトルを制してきた人たちの衣装をお付けになって、しかもたいていのやつは武器なども手にしているものだから反撃されたらたまらない。

ので、ここでちょこっと申し上げたい。

僕が理解しているコスプレというのは、アニメや漫画で特に好感を抱いているキャラクターの着ている衣装を真似て作った服を着て、化粧を施し、かつらなんかを頭にしつらえ、そのキャラクターになりきることなんだけども、今日見た連中はまったくキャラクターになりきっていなかった。ただお互いに写真を撮っているだけで一向にバトルもロマンスもスペクタクルも始まる気配を見せないし、おそらく漫画のカットのまねであろうポーズをしているだけ。一番ひどかったのは忍者のかっこをした二人で、畳に向かって数十回手裏剣を投げるも、ひとつたりとも刺さることはなかった。

「お前らもっとなりきれよ!」と心の中でエールを送るも、前述のような事情で真のコスプレ道を教授するにはいたらず残念無念。

わだかまりを持った心で浅草寺の境内に裏側から入り込み、本堂に進むとあまりの人の多さにびっくりし、「いったい何事なのだろう?七五三?」と、そそくさとお守りをもらって(というか購入して)引き上げてきた。電車の中で聖観世音菩薩とメールアドレスの交換をするどころか、その顔を見知ることもなく帰ってきたことに気がつき愕然とした。

これもあの宇宙戦争をやりそうな格好をしたやつらのせいだ。

次回はタイガーマスクの格好をして花やしきに参り、全員を成敗してやると決意した次第。

ううっ・・・、いそがしい。