馬鹿に刃物

「馬鹿と刃物は使いよう」なんていうポップな言い回しがあって、僕のようなうつけ者のこともうまい感じに使っていただきたいと願っているのだけども、たまに「馬鹿が刃物を手にする」というクールでもキュートでもない状況が発生してしまうという事実を忘れるわけにはいかなくて、例えば米国のパット・ロバートソンのような痴れ者がテレビというメディアを手にいれてしまったことを嘆いているのは僕一人ではないのだろうと思う。

米国でキリスト教の伝道師としてテレビ番組を持ち、政界とのつながりも強く、米国での自然災害はすべてゲイとレズビアンと民主党が引き起こしたものだと断言し、ベネズエラとの問題は政府として交渉するよりもチャベス大統領を殺っちゃえば終わると言い、イスラム教徒はナチスよりもヒトラーよりも質が悪いと言うロバートソン。彼が作ったクリスチャン・コアリションという団体は、共和党固定支持票の3分の1を占める勢力となっている。

今回のハイチでの地震についてはこう発言している。

ずっと昔にあることがハイチで起こったんだ。人はあまりその話をしたがらないのだけども。ハイチの人たちはフランス人に統治されていたんだ。ナポレオン3世だかなんだかっていう人に。それでみんなで悪魔に「もしもフランスから解放してくれたら、あなたのために仕える」って言ったんだ。本当の話なんだ。そしたら悪魔は「いいよ。約束だ」って。その後ハイチで反乱が起こってフランス人から自由になったんだ。なんだけどもその後は次々と呪いに見舞われ、絶望的に貧乏なんだ。(中略)彼らは神に戻ってこなければならないし、僕らはそのために祈らなければならない。僕は楽観主義者だ。この悲劇の後になにか良いことが起きるかもしれない。


ほほん。ハイチに行って祈るそうだ。祈るためのグループを送るそうだ。そりゃ、祈るのはいいよ。どんどん祈ればいい。でも祈るためにこの人は募金を集めるんだ。そして祈るためのグループをハイチに送る根拠が、ハイチの独立の際に起こった「本当の話」。中南米のほとんどの国がハイチに続いて独立したけども(ハイチはラテンアメリカ初の国家)、どうして悪魔はハイチとだけ契約をして呪い続けるのだろう?どこからそんな発想が湧いてきたのだろう?

奴隷の反乱による世界初の黒人共和制国家だからか?

このアホみたいな放送のあと、沢山の人が彼に募金を託した。ハイチへの物的支援のためじゃない。彼とそのグループが満足に祈りに行ってこられるためだ。

金は集まる。
馬鹿は大量の刃物を手に入れた。