白紙の巻物

24.08.2019

午前、清掃洗濯。楽器指導。楽器練習。

午、辣炒粉条作成。

午後、事務作業。原稿。書見。

The world is indeed comic, but the joke is on mankind.

– H. P. Lovecraft

世界は漫才に違いないけども、とぼけ役は人類と決まっている。

– ハワード・フィリップス・ラヴクラフト

半年前から毎日連載しているエッセイ。このところ10日ほど家に引きこもることが可能なスケジュールなので、思いつきよりも少し考えを巡らせたものにしようと、僕が直接音楽についての教えを受けた巨匠たちの列伝を認めていた。

さて僕が一番一緒に時間を過ごしたはずのコワルスキー御大の話を書こうと思うも、一体何を学んだのかうまく書くことができない。なにか秘伝を授けられたわけでもないし、特別新しい技術を教えられたわけでもない。思い出はあっても要約ができないんだ。 朝から楽器を練習し、洗濯物の干し位置を逐次変えながら「何を教えられたのだろう」とずっと考えていた。

毎朝電話をかけてきて「起きて練習しろ」と(時には国際電話を使って)8年間言い続け、気が向くと夜中に僕のアパートに現れて夕飯を食べていた。スーパーで出会うと僕の買い物かごを覗き込み「こんなものに金を使うな」とシャンプーを棚に返し、石鹸を放り込んで「髪なんてそのうちなくなる」と笑っていた。

結局のところ、彼は僕をゼロから職業音楽家に育ててくれた、それだけをしてくれたのだと思い至った。毎日何をするべきか、何を見て聞くべきか、何を食べるべきか、そして一人でいる時間の大切さ。

秘伝の書を紐解いてみたら白紙だった、っていうような感じだ。

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