晩秋のバロック音楽

12.04.2019

午前、曲作り。

午後、楽器指導。曲作り。原稿。ハムサンド。書見。

To do nothing is sometimes a good remedy.

– Hippocrates

何もしないということが、時には妙薬であるんだ。

– ヒポクラテス

スウェーデンの大学で働き始めた頃、いつものようにカフェテリアでレバーペーストのオープンサンドを一人で食べていると、普段はおとなしい短髪の美少女が意を決したように歩み寄ってきて「明日モニカ・ハジェットの演奏会が旧市街の教会であるんだ」と僕に告げ、じっと僕の目を見て立ち尽くしていた。浅学の僕は「ん、モニカ・・・誰?」と聞き返すしかなかった。

翌日、教えてもらった地下鉄の駅に行くも彼女はいない。腕時計を確認してみると、駅の時計よりも一時間進んでいる。パラレルワールドに迷い込んだことを確信した僕は、教会に一人で赴き、一時間ただ座って演奏会が始まるのを待った。動揺している僕を見つけた彼女は大笑いし、昨晩サマータイムが終わって時刻が変わったことを教えてくれた。「ニュースでやっていたでしょう。テレビは見ないの?」と訊かれたけども、まだスウェーデン語が解せず、見るわけがない旨を伝えた。

その直後、モニカ・ハジェットの演奏を聴き、余分なものを付け加えることのない、滋味深い演奏の存在を知った。日照時間が極めて短くなったストックホルムで、ピリオド楽器の奥深さを知らずに教えることも演奏活動をすることも不可能なことを悟ったんだ。

今では世界的にはそういうブームは去った訳だけども、欧州では地に根付いた伝統として演奏されているのだろう。

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