参拝のギミック

09.07.2019

午前、曲作り。

午、海老のスープ、小魚のフライ。

午後、楽器練習。ラジオ出演。原稿。親子饂飩作成。書見。

So gewiß ist der allein glücklich und groß, der weder zu herrschen noch zu gehorchen braucht, um etwas zu sein!

– Johann Wolfgang von Goethe

命令することもなく、服従することもなく、世の中での立ち位置を見つけられる者は、独りで幸せで素晴らしくいられる。

– ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

僕のオフィスを置いてある文化会館は、文化財に指定されているので10年に一度くらいの割合で修復作業が入る。来月から半年ほどそういう作業をするというので、新しい練習場を探しに数件回った。1つ目の物件が煉瓦造りで天井が高いので、手をポンポンと鳴らし「ここは無理だなあ」と呟くと、一緒にいた数人も手を鳴らして首を傾げている。次の物件では僕よりも先に誰かが手を鳴らして、あたかも神社参拝のような様相となった。数件後にみんなが「手を鳴らして何を計っているの?」と訊いてきた。

「実は僕もよくわからないんだ。好きな物件じゃなかったからプロっぽい仕草をしてみただけ」と応えると、みんな安心した顔で手を鳴らして首をかしげる素振りを繰り返していた。

1923年の5月の最初の5日間、帝国劇場でクライスラーがリサイタルを行っている。5月5日のプログラムはベートーヴェンの7番のソナタとバッハのシャコンヌがメインだったようで、果たしてあの大きな空間でそれがどの様に鳴ったのかと時折想像する。クライスラーはシャコンヌを録音しなかったから、なおさら想像力は膨らむ。たぶんドライな音響だったのだろうな。

音響は簡素であればあるほど、微細なことが浮かび上がる。

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